各地の会や団体
カンボジアにおける心理リハビリテイションの歩み
カンボジアにおける心理リハビリテイションの歩み
中野 弘治
- 2003年3月、第1回カンボジア動作法キャンプ(心理リハビリテイションキャンプ)は当初のカウンターパートナー「SUMH(Supporters for Mental Health) 途上国の精神保健を支えるネットワーク」の事業としてシェムリアップで開催された。キャンプの対象者(トレーニー)は、統合失調症や精神疾患の成人の方がほとんどで、支援者(トレーナー)はSUMHのスタッフが担当した。
- 2003年8月に第2回カンボジア動作法キャンプでは、故 成瀬悟策先生(九州大学名誉教授)に動作法の講演会やインテーク、村訪問による地域の精神疾患の方や障がい者へのインテークなど多岐にわたりご指導いただいた。
その後、SUMHの事業として2005年の春と夏に2回の動作法キャンプを実施し、統合失調症や他障がいの方々に多くのサポートを行うことができた。参加者の中には、自宅に引きこもっていた統合失調症患者が動作法体験の後、バイクタクシーの仕事につき、社会参加することができたとの報告もあった。SUMHでは活動メニューの一環として動作法を取り入れ、地域の障がい者へのデイサービス事業として継続的にサービスを提供されるようになった。
第5回~9回の動作法キャンプはPSO(Phnom Penh Cambodia at Psychosocial Services Organization)を会場に地域の在宅障がい児・者を集い、地域の学生や施設職員をトレーナーとしてキャンプを実施した。PSOにおけるキャンプの特徴としては、心理リハビリテイションキャンプの特徴である①動作法、②生活指導、③集団療法を実施し、多面的な指導を行うことができた。特に生活指導では毎日の給食の時間に食事介助の方法の指導も行った。
そのトレーナーの中に第10回目から現在(第21回動作法キャンプ)まで継続しているNational Borei for Infant and children(NBIC)の職員も参加していたことから、その後ナショナルボレイの施設内にて動作法の実践を行うことになった。
ナショナルボレイでの動作法キャンプの実践は10回を超え、職員たちの認知度も高まり施設内での支援プログラムとして定着した。
現在でも施設内で2人のスーパーバイザーを中心に動作法の活動を継続している。