各地の会や団体
ベトナムでの活動について
伊藤拓也・吉川吉美(愛知学院大学)
はじめに
愛知学院大学では,ベトナムの国立大学であるダナン大学―師範大学をカウンターパートとして,独立行政法人 国際協力機構(JICA)2017年度 草の根技術協力事業 草の根支援型(第1回)に採択された,心理リハビリテーションを通した発達障害児等支援指導者育成事業が2021年1月に終了しました。ここでは,ベトナムダナン市でのこれまでの活動の経緯や2020年以降の近況について報告します。
これまでの活動の経緯
ダナン市での取り組みは,吉川が2010年頃に当時ダナン市の特別支援学校に派遣されていたJICAボランティア隊員の手助けのつもりで渡越し,ダナン大学―師範大学や特別支援学校の先生方に動作法を紹介したのが最初です。先生方には大変感心していただき,学校や施設で取り組みたいという意見が多く出て,以後,毎年2回ほどダナン市での動作法の研修会をすることになりました。また,JICA海外協力隊OBの方や日本語が堪能なベトナムの人々が仲間になり,研修会の企画をスムーズに進めることができるようになりました。こうした活動の中で動作法に関心のある人々が次第に集まり,ベトナムに動作法の研究会ができました。そして,JICA草の根技術協力事業に応募し,活動をもっと広げていくことになりました。幸い採択され,2018年度からプロジェクトが始まりました。
JICA草の根技術協力事業
JICAでのプロジェクトでは2019年12月までに全8回の渡越研修と1回の訪日研修が実施されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は渡越も訪日も実施できなくなりました。ベトナムは早期に感染拡大を抑え込んでいたこともあり,ウェブで連絡を取り合いながらプロジェクトを進めることができ,2021年1月にプロジェクトは終了を迎えました。最後に実施された成果報告セミナーでは,ダナン大学―師範大学と特別支援学校の先生方からベトナムで初となる動作法テキストの完成について発表がありました。また,現地の先生方だけで研修会を実施する中で,ダナン市近郊だけでなく他地域へも展開でき,動作法の体験者数も約2年半で700名ほどになりました。これまでの活動で,ベトナムで動作法が展開されていくための中心メンバーが育成されたといえます。今後も活動が発展していくよう,次の計画に着手していきたいと考えています。