【リレーエッセイ(トレーナー6)】
筑紫女学園大学 岩男尚美
筑紫女学園大学で教員をしております、岩男尚美です。大分大学の古長先生からバトンをいただき、心理リハビリテイションにまつわる思い出を書かせていただきます。
私がはじめて動作法に触れたのは、大学2年生のころでした。はじめは、授業で回ってきたボランティアの募集に、1日くらいの参加かなと軽い気持ちで同期と名前を書いたのですが、何故かサブトレーナーを頼まれ、動作法を全くしらないままに、全日参加させていただきました。やすらぎ荘に上がって2日目には、「お姉ちゃんはこんなところ来ないほうがいいって教えてくれなかったの?」と当時の班のSVの先生に笑いながら言われたことはとても衝撃でしたが、訓練が実際に始まると何が起こっているのかわからないような怒涛の数日間で、「ちょっと膝立ちさせてみな」なんて急に言われたものの当然ながらできるわけもなく、これはすごいところに来てしまった…と心底思いました。トレーニーの皆様や保護者の皆様、先輩方や先生方に様々教えていただきながら過ごし、ようやくやすらぎ荘から降りたことをよく覚えています。
それから少しずつ1泊キャンプや日帰り訓練会などでトレーナーをさせていただくようになり、「どうですか?」ととても曖昧に尋ねて、トレーニーさんに「こうしてほしい」と言っていただくままに、これであってるのかな?と思いながら訓練に臨んでいたように思います。
そして、初めて長期キャンプでトレーナーをさせていただいた大学4年生の終わり、初日はどうしよう?から始まり、SVの先生とではトレーニーさんはしっかり座っているのに、自分とは座れない、そんな時間を重ねました。なんとか私の援助でトレーニーさんに座っていただいたときの気持ちは今後も忘れることはないと思います。
その時担当させていただいたトレーニーさんとは今も頻繁にご一緒していますが、言葉で言っていただくことだけに頼るのではなく、自分の触れ方や支え方、援助の仕方がトレーニーさんにとってどのようなものになっているのか、相手がどう感じているのかを想像して関わることの大切さを教えていただきました。
やすらぎ荘でも訓練会が再開されてしばらく経ち、私も何度か参加させていただいていますが、やすらぎ荘に上がる角を曲がると、なんとも不思議な感覚が呼び起こされます。コロナ禍でしばらくお会いすることが叶わなかった懐かしいトレーニーの皆様とも再会し、あの頃と変わらずお声かけいただき、今も、あの場所で、たくさんのことを教えていただいております。
なにも知らない学生時代から、あたたかく育てていただいた心理リハビリテイション関係者の皆様には、心より感謝申し上げます。
そして、最後に、このエッセイのバトンを受け取っておきながら、長い長い間止めてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした……
こんな私ですが、今後ともあたたかく見守っていただけますととても嬉しく思います。