【リレーエッセイ(保護者12)】
浅見 昭恵
長野県の稲垣さんからバトンをいただいた、東京都の浅見駿太(26歳)の母です。
息子は、生後半年くらいから、成長が“ゆっくり”ということで、定期的に病院で様子を見てもらっていました。私が1年の育児休暇を終えて仕事に復帰するタイミングで、公立の保育園生活をベースにして、PT、OT、そしてSTを受ける形で幼少期を過ごしました。
地元の公立小学校は、車椅子での受け入れが難しいということで、小学校から高校までを特別支援学校で過ごすことになりました。それまでは、病院で受けるPT、OT以外、調べることも相談できる知り合いもいなかった中で、同級生や先輩方の話を聞いて、体の使い方や機能改善にいろいろなアプローチがあることを知りました。そして、授業としての自立を受ける中で、先生方が実践されている動作法の存在を知り、たまたま、地域の親たちで発足した、親子で動作法を学ぶ「麦の会」に、小学3年生の頃から参加させていただくようになりました。
会は、月1回1時間弱の定例の訓練会と、年に数回1-2日間の集中訓練や勉強会という形で実施され、参加メンバーは、学校で毎日会う友達や会の中で初めてお会いする方、また、年齢も3-4歳の方から成人した30代の方までと、さまざまな年代の方とご一緒しました。ご指導いただく先生方は、通っている特別支援学校の先生だけでなく、関東圏やそれ以外からもいらしていただき、息子にとっても親である私にとっても刺激を受ける場と時間となりました。
先生との訓練は、動きの微妙な変化を「そこ!いいねー、グッド」と声をかけて頂きながら、本人の感覚を研ぎ澄ます支援をしていただいている様子を見て、たびたび、“神の技~”と感じるばかりでした。月例のたった1時間の訓練であっても、はじまりと終わりでは、座った姿勢、ひざの伸びなど、各段に改善して体が軽くなって帰ることが多かったです。
中学生になると、自立を担当していただいた先生が動作法を支持されていて、息子と相談して、「自宅で、自分でできる簡単な訓練」を目標設定していただき、パソコン好きの息子は、Excelで表を作成して、日々の訓練実績を日記のように記録していました。短時間で簡単な動作ですが、6年間ほど続けたことも今の体の状態のキープにつながっていると思います。ただ、中学部までくらいは、機会があれば、動作法以外の訓練法にも参加することもありました。
そんな私たちが10年以上、成人となった今でも参加させていただいているのを、今一度考えてみると、動作法という理論・技法の素晴らしさだけでなく、その場でお会いする先生方や他のトレーニー、そのお父様やお母様との交流も我が家にとっては重要な場となっているからだと思います。何人かの先生方は、息子の成長を、15年以上も見守っていただいています。社会人となった息子にとって、身近にいる親では気づかない、1-2か月での変化などを共有・解決への道標を与えてくださる貴重な機会にもなっています。
学生の間は、機能改善を目標に取り組んできましたが、成人し2次障害も心配になる中、少しでも現状を維持する、機能低下を緩やかにするために、これからも、時間の許す限り、月1回という希少な時間を大事に過ごしたいと思います。
コロナ渦では、会自体を休止することもありましたが、先生方のご支援もあり、いち早くオンラインでの学習会を実施して、一昨年ごろから通常開催に近い形に戻っています。これからも可能な限り継続しありふれた経験ですが、新しく参加してくださる方々に自分が学んだことを共有させていただければと考えています。私が、先輩の皆様にしていただいたように・・・。