丸山千秋先生追悼文 丸山千秋先生を偲んで

丸山千秋先生 追悼文

丸山千秋先生を偲んで

2024年8月31日

青山学院大学 小俣 和義

 青山学院大学名誉教授丸山千秋先生が,長年の闘病生活を経て2024年6月24日に天に召されました。享年74歳でした。生前の多大なるご功績を悼み,謹んでお悔やみ申し上げます。

 丸山先生との出会いは,私が1988年4月青山学院大学大学院に入学し,研究室所属のゼミ生として拾っていただいたことから始まります。そこで,動作訓練と出会い,月例会,そしてキャンプを通して,ご指導をいただくこととなりました。それは大変厳しいもので,動作訓練の理論や技法とともに,マネージャーや集団療法などの係として動き方について,基礎から一つひとつ細やかにご教示をいただきました。大学院生時代不出来であった私は,叱られることばかりであり,在籍中には「役割の中で動けていたな」と一度だけ褒めていただいたことが印象に残っています。当時より,臨床家として組織の中でどう振舞うのか,生きざまそのものが問われていたように感じています。あおばの会と連携しつつ,30年以上にわたり東京キャンプを続けてこられた月日は本当に重く尊いもののだと思います。心理臨床現場に出て以降,先生からいただいた教えが,今もなお血液のように私のからだで脈々と流れています。先生にご指導をいただいた卒業生たちは皆,同様気持ちを抱いているかと思います。

 2001年より青山学院大学の教員として,ご一緒にお仕事をさせていただきましたが,先生のお仕事ぶりは,どんなことでも労を厭わずに足を運び,仁義を尽くすという姿勢を終始貫かれておりました。謙虚にかつ誠実に人と向き合いながら,組織内の難しい問題も持ち前の交渉力と調整力で乗り越えてこられました。臨床動作法を体現されていたように思います。研究活動においても臨床動作法の発展に尽力され,2009年には,永年にわたる多大なる功績が評価され,「日本リハビリテイション心理学会学会賞」を受賞されました。

 晩年は,ご体調を崩され,闘病生活の期間も長かったので,ご苦労の連続だったと拝察いたします。そうした状況にあっても,奥様の献身的なサポートを受けながら,大学人として,心理臨床家,研究者として幾多の課題に取り組み,2018年3月のご定年まで勤め上げられました。最後まで全力を尽くす姿には,頭の下がる思いです。

 丸山先生からいただきました数々のご縁と教えには感謝の念が尽きません。先生が遺してこられた多くの宝物を大切にし,次の世代へとつなげていく所存です。

 末筆ですが,重い荷物を降ろして,どうか安らかにお眠りください。

青山学院大学名誉教授丸山千秋先生(享年74歳)
2018年3月 青山学院大学ご退職記念祝賀会会場にて

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