【リレーエッセイ(トレーニー4)】動作法から広がるつながりの輪
新村 尊子
私が動作法に出会ったのは、7歳の時です。初めて心リハのキャンプに参加したのもその頃です。当時は動作法をするのがメインではなく、同世代の子達と会える!いろんな人に遊んでもらえるから行く!そんな感覚だったと思いますが、初めて参加をした際に「楽しい!」「また来年も絶対来たい!」と思ったのは、よく覚えています。
年齢が進むにつれ、動作法をした後の自分の身体の変化などを感じ取れるようになりました。参加する理由も「どうやったらもっと楽に動けるだろうか」「どうやったらこれができるようになるか」など、自分の身体が少しでも動かしやすく改善できたらというようなことを、自然と考えるようになりました。そして大人になった今は、もちろん自分の身体のことを考えての動作法がメインですが、普段仕事をしているだけでは出会うことができない様々な障がいを持ったお子さん達と、たくさんコミュニケーションを取れるようになりたい、触れ合いたいというのもキャンプに参加する理由になっています。このような気持ちを持つようになったのも心リハキャンプのおかげだと思います。
今はコロナ禍で、残念ながらキャンプや月例会が思うようにできなくなってしまいましたが、アドバイザーとしてもキャンプに携わらせていただいています。アドバイザーのお話をいただいてからは、キャンプに参加するだけでは見えなかった部分をたくさん知ることができました。「どうしたら皆が充実した、参加して良かったと思えるようなキャンプになるのか」「トレーニーのことを第一に考え、どういう配慮が必要なのか」「感情表現の難しいお子さんにはどうやったら楽しんでもらえるのか」など。本当に細部まで皆で悩み、考えられてたくさんの方々の協力があり、このキャンプが成り立っているんだなぁということを毎回感じ、勉強させていただいています。
キャンプを通じて嬉しかったことをニつ挙げさせていただきます。一つ目は一週間がっつり動作をすると、やはり身体の変化が明らかに出てくることです。それがほんの小さな変化だったとしても、余計な身体の力が抜け、楽になったり動かしやすくなるのが実感できます。自分の身体なのですが、新たな発見もあったりするので、面白いです。一週間じっくり自分の身体と向き合うことができるのもキャンプの魅力だと思います。
二つ目はキャンプだからこその出会いや、つながりの輪を広げられることです。普段様々な環境で生活を送っている人たちが集まって一週間を共に過ごすことで、新しい発見・工夫・考え方に出会えるのは楽しく、とても勉強になります。
たくさんのトレーニーさんの変化を間近で見れることは感動も大きいですし、動作法は身体だけではなく、心や表情などにも変化をもたらすんだなぁというのも実感することができました。例えば、私は普段知的障がいのあるお子さんと触れ合う機会がないのですが、キャンプで同じ班になった際に、最初は先生が呼んでも走り回っていたのに、だんだん信頼関係が築けてくると「やるよ〜!こっちおいで〜!」と先生が声をかけると、そばまで来てきちんと座った時は本当に感動しました。まずはトレーニーとトレーナーの信頼関係を築くこと、そして「どうしたら相手に伝わるかな」とか「できた!」などの感情を一緒に共有し、表情の変化などを感じ取る等のコミュニケーションが、動作法において一番大切なことだと私は思います。
私は、障がいを持った人と接したことがない方にもキャンプにどんどん参加していただきたいと思っています。参加することで、何かを感じ吸収でき、得るものが必ずあると思います。私自身ができる一つとしては、キャンプの参加募集の際に、友人や知人に声をかけています。また、これからも動作法を途切れさせないためにも、若い世代に継承していかなければなりません。少しでも動作法を知ってもらい、興味を持ってもらうために、SNSなども活用しキャンプの募集やPR動画を作ってみてはいかがでしょうか。
キャンプを通じてたくさんの方に出会いました。私は普段電動車椅子で生活をしていますが、様々な所へ外出したり、アクティブに遊ぶことが大好きです。当時キャンプで出会った先生が「今は退職して障がいのある方もアクティブな遊びを楽しめるように活動してるねん!遊びにおいで〜!」と誘っていただいたり、また動作法に出会った頃は小学生だった私ですが、子供の頃から私を知ってくださっている先生方の勤め先で、今度は大人になった私が「就職活動をしている方や、将来社会に出ていく子ども達に向けてお話をしてくれへんか」と、依頼をいただく機会も増えました。その度に子ども達から、元気をいただいています!
ご縁って本当にどこでどんな風につながってていくのかわかりませんね!だから面白い!
出会い、そしてつながってくださっている方々がいるからこそ、今の私がいます。本当に宝物ですし、いつも刺激をいただいています。これからまたどんな出会いあるのか、今からとても楽しみです。また皆で集まって月例会やキャンプができる日が来ることを願って…。
※このリレーエッセイは、全国各地のトレーニー・トレーナー・保護者が徒然なるままに思いを綴っていきます。